夜月は恋多き乙女でした(何 話してて「いいなぁ〜」と思う人がいると、気になっちゃう方なんです 笑 でもそういう時ってたいていは失恋したり、付き合ってもすぐダメになったりするんですよ。 あの人と出会ったのはハタチの頃、失恋した後でした。 趣味の車での出会いでした。 女友達と3人で峠に行っていた頃でした。 色々な出会いがあって、その中に彼がいました。 彼はとても大人で面倒見の良い人で、車にとても詳しい人でした。 今思うと、それは単なる憧れだったのかもしれません。 当時の私はまだコドモで、趣味友と言えば恋愛抜きで付き合えるものだと思っていたんです。 でもそれは私のカンチガイでした。 当時、女性のいわゆる「走り屋」はあまりいなくて、その中で私だけだったんです。 他の女友達は見に来るだけでしたから。 ウワサがウワサを呼んだらしく、私はいつの間にか有名になっていたようです。 実力もないのに・・・。 色んな人に声をかけられたものです。 ナンパではなく、仲間として、だと思っていたんですよね。 だから当時は十数人の男性に混じって、女一人、という構図でした。 夜集まって、車の話をして、走って、またバカな話で盛り上がって、朝方帰る・・・という生活をしていました。 速くなりたい。 運転が上手くなりたい。 そう思っていた頃です。 彼は私の師匠でした。 車のこと全くわからない私に、根気良くわかりやすく説明してくれたり、隣に乗って運転を教えてくれたり。 私生活でも、悩みがあると彼に相談したりする仲になりました。 そうやって毎日のように一緒にいたんです、好きにならないワケがありません。 彼が好きだ、と自覚はしたものの、彼と私は師弟の関係。 今の関係を壊したくない、って悩みました。 ある日、彼に呼び出されました。 「話があるんだ。」 と。 私はドキドキしながらその場所へ行きました。 だって、もしかしたら?!なんて甘い期待をもっていたからです。 暗い駐車場の車の中。 彼が私の隣にいます。 いつもより真剣な顔つき。 心臓は破裂するかと思うほどの鼓動を打ち続けています。 「俺・・・好きな女がいるんだ。」 彼が徐に口を開き、言った言葉です。 みなさんなら、こんな時どうしますか? 私は止まりました。時が。 私でないことは、彼の目を見ればわかりましたから。 結局、彼の話とは、好きな女性のことについてでした。 好きな人の口から、好きな女性の話を聞くことがこれほどツライものだったとはね。 でも彼は私が彼を好きだって知らないワケだから仕方ないんです。 彼女を想って泣く好きな人を見て、貴方ならどうしますか? 手の届かない人。 そう思ってしまったのは、私が弱かったからでしょうか。 その日、結局私は彼に何もしてあげることができず、ただただ「大丈夫ですよ。」と ありきたりな言葉しかかけてあげられませんでした。